思い出はそのままで

我が職場を利用されている96歳の

お祖母様

昔、教師をされていたらしく

現在もしっかりしており職員の

顔と名前は完璧に覚えている

 

ひょんな会話から、彼女の義弟に

私が小学校時代教わっていた事が

わかり『いや〜、トシオさんの

こと覚えてくれてて嬉しい。

優しい人だったでしょ?』

はい、そんな先生でしたね〜と

話をあわせておく

 

というのも、実は彼にはとある

噂があったからだ

 

お気に入りのコを自宅に招き

風呂にいれていた

 

ただ、単にお風呂にいれてただけ

なのかはたまた···かはわからない

だけど何故風呂にはいらせてたか

 

なので私の中では【いい先生】

ではなく、少々怪しい人だった

 

いい先生···そう言われて真っ先に

思いだすのは父だった

 

いつも卒業生・在校生問わず

自宅を訪れ賑やかだった

もてなす母は大変そうだったが

幼い頃は沢山のお兄さんお姉さん

が遊んでくれて楽しかった

 

父がある日二人の男の子を

自宅に連れてきた

特殊学級に通う少し知的障害が

あるコらしかった

家庭の事情であまり出歩けない

親らしく、父がバッティング

センターに連れて行き遊ばせて

自宅でお昼ごはんをご馳走した

食べながら沢山楽しかった話を

していて私ら家族もニコニコ

話を聞いたものだった

 

今の御時世、こんなことをすると

うるさく言われるかもしれない

だけど、そういう思い出をくれた

先生の事をきっと忘れないだろう

 

現に父が倒れた時には沢山の

元教え子、その父兄たちが

駆けつけてくれた

中には父の代わりに私達の事を

見守り支えてくれている人も

いる

 

今となっては話すことも出来ず

ただ施設で過ごしている父

何を思って日々送っているかは

悲しいかなわからないけど

あの楽しかったであろう日々を

思い出し心の中では笑っていて

欲しいと勝手に願っている

 

親孝行したい時には親はなし

本当にそう

もう少し父に優しくしてあげれば

良かったと反省しきりの私